くらやみ生き物探検―神津牧場にて

(写真は神津牧場に向かう道からの景色)
10月3日 下仁田ジオパークのイベント『くらやみ生き物探検』に参加しました。

神津牧場に着いた頃には暗くなり始めていました。暗い中の探検が楽しみでした。私がこちらに移住して暗闇の中で外に出たのは、星を見に行くときと初詣、ヨタカの観察会ぐらいです。移動中に車から偶然に動物を見かけることはありますが、探検は初めてのことです。

最初に場長から神津牧場の歴史について教わりました。1887年に開設され、現存する日本最古の牧場だそうです(小岩井農場より2年古い)。開設の2年後にはバター作りが行われていたとのことです。珍しい「地すべり地形」を生かした牧場で、最初は500haありましたが、現在は380ha、そのうち100haが牧草地・採草地だそうです。ジャージー牛がたくさん飼育されていて、モーという声が聞こえてきました。

生物多様性研究所あーすわーむの方々がガイドをしてくださいました。

<昆虫の観察>

最初に私たちの班は昆虫の観察に行きました。石塚先生が仕掛けを作って夜行性昆虫を集める準備をされていました。

最初に、なぜ夜の昆虫が電灯などの光に集まって来るのでしょうと質問されました。私は人間がいないところには電灯がないので、もともとそれ以外の何かの光を頼りに動いているはずだと考えましたが、太陽以外に思い浮かばず(夜には太陽がないのですが)、そこで思考停止してしまいました。すると先生が、ご用意された模型を使って解説してくださいました。そういえば小学生のときにそんなことを習ったような気もしたけれど、すっかり忘れていました。今回の模型での解説があまりにも分かりやすく、印象に残ったので、もう一生忘れないでしょう。

さて、お話が終わる頃には段々暗くなってきました。コオロギ(先生によるとエンマコオロギを含めて3種類)が鳴いていました。光に虫が集まり始めました。

学んだこと:
夜行性といっても昆虫によって活動する時間帯が違う。
・鱗翅目は日本に6000種あり、その中の95%を蛾が占めている。蝶と蛾を無理に区別して考えなくて良い。
・種類については、見た目では判断が難しいものがあり、時間帯、時期、食べる植物によって区別する必要がある。
・蛾はメスが匂いを出し、オスはそれを感知するために触覚にふさふさの毛が生えている。
・オオミズアオは5月と9月の2回羽化する。
・クスサン(やオオミズアオなどのヤママユガ科)は幼虫のときに食べた栄養が成虫の胸の筋肉に使われ、その分、口がない。飲まず食わずで最後の1週間を過ごす。

虫が集まってきました(蛾が多かったです)。

最初にやってきた虫
中くらいの大きさの蛾(最初はケースの中で飛び回っていましたが、少ししたらとまりました。)
キシタバの仲間
ヨツボシホソバ

次々と集まる蛾が違う種類であることに驚きました。こんなに多様なのですね。この後、私たちの班が鹿の観察のツアーの方に移動している間にも、また次々と蛾が集まってきていたようです。

ヨツボシホソバとツバメエダシャクの仲間
ツバメエダシャクの仲間
もともと翅がギザギザの蛾(枯れ葉に似ている)

クスサンが3頭も捕まえられていましたが、1頭は翅が大きく損傷していました。鳥にかじられた可能性があるとのこと(ビークマーク)。こんなに大きな損傷を見たのは私にとって初めてでした。

クスサン

虫がたくさん出るようになり、コウモリも鳴いていました。蛾は観察の後、逃がされました。

昆虫が大好きな先生は観察中、観察のために蛾に集まってもらって、箱の中で貴重なエネルギーや鱗粉を使わせてしまっていることに対して、「かわいそうだけど」という言葉をよく使われていました。一つひとつの蛾がこんなに美しく、可愛らしいということ、蛾を守りたいという気持ちを参加者の大人も子どもも一緒に学べて、素晴らしい経験ができました。私にとっても人生観が変わるような経験でした。皆で生き物を大事にしようという気持ちになれたことが一番の宝物です。

<鹿の観察>

車に乗る前の鹿のクイズで、大笑いしながら楽しく学ばせていただきました。車のヘッドライトに寄ってきたクスサンがいたので、轢かないように慎重に出発しました。車に乗ってからは移動しながら光を当てて、反射する鹿の目を数えました(20頭近く確認しました)。車内でも、鹿や鹿の調査方法について分かりやすく教えていただき、大変勉強になりました。

学んだこと:
・角は栄養状態によっても大きさや枝分かれの数が違う。5尖より多くはならず、年を取ると減ってくることがある。
・今(秋)は結婚の時期で、メスと子鹿が集団を作っているが、そこにオスが入り込む。オスは食事もせずに繁殖活動に専念することがある。
・大きなオスは縄張りを持ち有利に思えるが、かえって食事をする暇がなく、生き延びるのが難しい場合もある。小さなオスでも、隙を狙って結婚に成功することがある。
・神津牧場は牧草が豊かで、周辺が鳥獣保護区になっているため、鹿が増えている。

鹿の角のことなど、長い間疑問に思っていたことに答えていただき、謎が解けました。たくさん鹿を見てこられた専門家の方に教えていただけて有難いです。チュッ、チュッという声がしていて、コウモリの声だと教えていただきました。とても楽しい体験でした。

<最後に>

さまざまな種類の蛾を目の前にして石塚先生がお話された進化のお話が感動しました。人間よりずっと昔から存在し、進化してきた虫が尊い存在に思えました。また、コンビニの明かりや街灯など、私たちにとって便利なものが、虫にとっては命を削ったり落としたりするものになっていることについて考えさせられました。特に、神津牧場のような夜は真っ暗な自然豊かな場所でお話が聞けたことで、実感が湧きました。

空を見上げると星がきれいでした。帰り道に、アナグマ2匹、タヌキ1匹を見ました。朝から夜まで思い出に残る1日でした。この日は家のベランダのクスサンから始まり、合わせてクスサンを5頭も見ることができました。最後まで必死で生きるクスサンを思い、私も頑張ります(いや、それより、虫のためには電気を消して寝た方がいいですね。)