草軽電鉄 二度上駅散策―その2

名ガイド宮崎光男先生についていき、二度上駅と思われるところを通過して(私はまったく気付かなかったのですが)、奥の方に行き、先生がお持ちの昔の写真と見比べて、そこまでは線路が伸びていたことを確認しました。そこからまた引き返して、二度上駅の駅舎に関係するものが地面に落ちていないか探すように言われました。私は途中で陶器の土管の破片を見つけましたが、それは関係なかったようです。

屋根の残骸を見つけました。少し離れたところにはコンクリートの遺構もありました。二度上駅は、急勾配のためスイッチバック方式を採用していました。現在は、どの鉄道でも電車の馬力が上がったため、日本でスイッチバック駅は数えるほどしかありません。しかし、近いところでは、篠ノ井線の姨捨駅がスイッチバック駅を残しているそうで、ぜひ行って経験してみたいと思いました。

二度上駅から、浅間牧場の方へと進路を変え、浅間牧場に接する浅間山眺望地点に向かいました。曇り空になり、残念ながら浅間山の姿が見えませんでしたが、先生のおっしゃるように心の目では見ることができました。

樹木に詳しい人にいろいろ教わりながら、フィノスの森の事務所に帰りました。ここは私の住む森(陽樹林)と違って、木の種類が豊富です。メモ:栗の冬芽は、栗そっくり。ズミの冬芽は見分けにくい。

倒木に生えたキノコ
倒木した木の幹から、枝が木のように立ち上がっています。この幹の下をくぐって進みました。
クマの爪痕
クマの爪痕(3本線になるのが特徴)
森のエビフライ(リスが食べた松ぼっくり)。手モデルはお友達。
二度上駅の屋根の一部
二度上駅の遺構
ハリギリ(センノキ)の幹
ハリギリ(センノキ)の落ち葉
浅間牧場との境目。トゲトゲのタラノキもありました。奥にはアカマツやヤドリギが見えます。
心の目で見る浅間山

事務所では温かいお茶と大きくて甘い焼き芋を用意してくださっていました。先生が嬬恋村の『ことぶきの むかしがたり』の本を読んでくださいました。大正12年に広島から列車をつないでこちらに旅した方のお話で、軽井沢から草軽鉄道に乗り二度上駅で降りて、そこから浅間山眺望地点に歩いていき、さらに歩いて親戚の家に行ったことが書かれてありました。100年以上前のことですが、その文章から高原列車の様子がありありと目に浮かび、寄稿者の方が浅間牧場と浅間山を見に行った道が、先程まで私たちが歩いていたのと同じ道だったのだと知って感激しました。

草軽電鉄はなくなってしまったけれど、残された文献と自然のおかげで、昔の人々に思いを馳せることができます。『むかしがたり』を読んだり、他の草軽電鉄の廃線跡を巡ったりしてみたいと思いました。