樽の中に住んでいたギリシャ哲学者のディオゲネスとはいかないまでも、星空を自分の無限の天井に見立て、野原を無限に広がる庭だと想像できれば、十分心豊かで最高に幸せだと思います。家の周りに塀のない地域に住んで、いっそうそう思うようになりました。
先日、本白根山のコマクサのお話を聞かせていただきました。自生するコマクサが盗まれて絶滅しかけたとき、草津中学校の生徒さんや有志の方々が2000本の苗を植え付けましたが、数日後にはすべて抜き取られてしまったそうです。それにもめげず、20年間かけて、関係町村の協力の下で数万本の育苗・移植と保護活動が行われ、群落地として復元されたそうです。
先月、ある場所で初めてコマクサを見ることができました(本白根山ではありません)。人の手によって守られてきたコマクサ。その思いを引き継ぎ、これからもずっと多くの人と大切に鑑賞できるようにと願っています。
