
観察会で吾妻渓谷を出て長野原町林地区の御塚というところに連れて行っていただきました。嶋村明先生は植物だけでなく石碑にもご関心がおありだそうです。
御塚は上毛かるたを制作された浦野氏の一族の墓地で、御塚は浦野家出身の村信という修験僧のお墓とされる場所です。古い供養塔の石碑や馬頭観音像がたくさん残されています。

地面には福寿草(栽培種)が広がり、野草のスミレも咲いていましたが、強い繁殖力を持つ、要注意外来植物のハルザキヤマガラシも咲いていました。

御塚を後にし、カタクリの群生地に向かいました。近くの開けたところにさまざまな雑草(牧野富太郎氏によると、「雑草」という名の草はないのですが)が咲いていました。ホトケノザ(シソ科)、ヒメオドリコソウ(シソ科)、ナズナ(アブラナ科)、イヌナズナ(アブラナ科)、タネツケバナ(アブラナ科)、オオイヌノフグリ、タチイヌノフグリを確認しました。
メモ:春の七草の「ホトケノザ」は、シソ科のホトケノザではなく、コオニタビラコ。オオイヌノフグリとタチイヌノフグリは外来種だが、イヌノフグリは在来種。花はピンク色。
カタクリの群生地では、まだ、まばらにしかカタクリの花が咲いていませんでした。一斉に咲くと、斜面が紫色に染まるそうです。アズマイチゲもところどころに咲いていました。


メモ:似たものにキクザキイチゲという青い花があり、両者は棲み分けている。アズマイチゲは太平洋側、キクザキイチゲは日本海側に見られる。
カタクリもアズマイチゲも、スプリング・エフェメラル(エフェメラルは「儚い」、「短命の」という意味)と呼ばれる仲間で、広葉樹林の若葉がつく前の日当たりの良いときに花を咲かせて虫を呼んで受粉し、葉がついて日が当たらなくなると地上部が枯れて次の春まで地下茎だけで生きる。
以前はカタクリの花が咲く時期に、「カタクリ祭り」もにぎやかに行われていたとのことですが、今は、林の手入れができる人が少なくなり、笹が生えて日が当たらなくなり、スプリング・エフェメラルにとって厳しい状態になりつつあるそうです。
先生には植物の観察の仕方だけでなく、歴史のことも教えていただき、また、自然をどう守っていけばよいのかを考えるきっかけを与えていただきました。これから半年間、しっかり学んで、浅間高原の花をすべて覚えたいと思います。